国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
「カーティス。マナワ族の首長のガクトとの会合はいつになった?」

「明日を予定しています」

「わかった。では午前のうちに会おう」

「わかりました」

かつてメナードとヒーリーに加担した民族、マナワ族。
メナードが約束を守らなかったことに怒り、また暴動を起こした。
今でもメナードのことは恨んでいるようだ。

メナードがサウザー帝国に逃げる際にも狙っていたようだが、メナードは狡猾にも南のルートを使っていったん海に出てからサウザー帝国に入国したらしい。
今後も落とし前を付けさせると意気込んでいるので、アドルフは手を組むことにした。

こういう種族は独自の思想を持っており扱いやすいわけではないが、メナードをけん制するには手を組んでおく方がいい。
メナードは絶対にこのまま終わるような人間ではないことをアドルフはわかっている。

自分を産んだとは思えない女。
いまや、何の感情も感じない。

今度こそ息の根をとめる。

アドルフは胸の中でこぶしを握り締め、今日も遅くまで政務に明け暮れるのだった。
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