国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています


「メナードはわしらを侮辱した。許しはしない。おまえはいいのか。おまえのウーマだろう?」

マナワ語でウーマとは母の事だ。
カルトナー帝国とサウザー帝国のちょうど国境に位置する山岳地帯に太古の昔から住み着いている種族。
それがマナワ族で、彼らは独自の文化を築いており、決してどちらの国にも所属しようとはしなかった。
常に、どちらかの帝国が統合しようと戦をしかけたり協定話をもちかけるが、彼らがどちらかの国を選ぶことはない。
常に独立を歩む誇り高き民族だ。

メナードはよくも彼らを利用し、裏切ろうとしたものだ。

彼らの誇りを傷つけるようなことを…。

「わたしの家族は今や6年前に生き別れた妻だけだ。母親はいない。メナードはお前たちに任せる。メナードの首をとってくれたら、今後、わたしの治世ではマナワ族に関わらないと約束する」

彼らの心に訴えるには家族という言葉は有効だ。
家族を殺してほしいという人間を信じられない様だ。

だが、アドルフの家族はオリヴィアだけだと思っている。
正直に話すほうがいい。
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