国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています


「アドルフ!こっちに行ってみましょう!」

「おいっ!やめろよ。そっちは魔物がいるから行ったらダメだって父上がっ!」

「大丈夫よ。きっと」

「おいっ!やめろ!オリヴィア!」

ハッ!

夢…

寝汗をかいているらしい。

昔の…子どもの頃の夢。

あのあとその丘には小さな魔物がいて攻撃されて、オリヴィアの二の腕には一生傷がある。

魔力のない自分ではオリヴィアを守ることはできなかった。

その時決めたのだ。

絶対に何があっても生涯オリヴィアは誰にも傷つけさせないと。

なのに俺はオリヴィアがどこにいるのかさえ…わからないでいる。

絶対に生きている。
そう信じている。

けれど…

もう限界だな。

自分の足で確かめよう。

ライネル王国にいることはほぼ確実なのだから。
自ら出向けば良い。
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