国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
とは言ってもなかなか改革に手をつけたばかりの国を空けることはままならない。

自分の皇帝の即位式と功労者の叙爵式だけはきちんと済ませねばなるまい。

なんとか2週間で準備して、即位式と叙爵式を行った。

国は混乱期を脱しつつある。

「陛下。ご即位おめでとうございます。ところでとなりがお寂しいですな。うちの娘が今年……」

「即位されたのですから、世継ぎが必要ですな。うちの姪にあたる令嬢が今……」

こんな話ばかりか。

皇后が必要なのはわかる。
だが…

「俺は誰も娶るつもりはない」

「ええっ!」

はっきりさせておかねばならない。

「国の運営は皇后がいなくてもできる。俺一人で十分だ。優秀な補佐官たちもいるからな」

「ですが!」

「俺の中で皇后は1人しかいない」

皆がハッと息を呑んだ。

それはもしや…?

今まで一言もその方の話を陛下の口から聞いたことはなかったのにと皆は思った。
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