国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
◇

ブラッドリーを見つけるのはそう難しいことではなかった。
彼の祖母がスタンフィールド女侯爵であることは調査済みだったし、彼女の元にいる孫息子というのが、どうやらブラッドリーらしい。
こちらではセカンドネームを使ってテッド・スタンフィールドと名乗っているようだ。
だからなかなかロゼレムは見つけられなかったらしい。
スタンフィールド家の侍女を1人買収し、テッドの容姿を確認したらまさにブラッドリーそのままだったのだから確実と言ったところだろう。

アドルフはその侍女を使ってブラッドリーを呼び出すことにした。

『’アリュール’
連絡がほしい。ソリア第一ギルドに連絡を。』

’アリュール’
これは小さいころブラッドリーとオリヴィア、そしてアドルフの間で使っていた暗号。
小さいころからカルトナーの情勢は不安定だったため、万が一のために3人で決めていた。
なぜその言葉なのかというとわからないが、その暗号を決めたときにたまたまそこにあった書類にその言葉があったからにすぎない。

アドルフはその手紙を侍女に託すと、ギルドの2階に寝泊まりし、連絡を待った。
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