国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています

そのうち、そのフード男、ブラッドリーは泣き出し、ひたすら泣き続けた。

そしてどれくらい経っただろうか、涙を自身の左腕の袖でぬぐうのを待って、アドルフは急かすように声を出した。

「ブラッドリー。教えてくれ。オリヴィアは…どこにいる？」

ブラッドリーの無事は確認できた。
この分だと、心まで落ちぶれてしまってはいない。
ライネル王国でそれなりの生活をしていると思われる。

だが、オリヴィアの気配が感じられない。
ソリアにあるスタンフィールド家のタウンハウスにはオリヴィアはいない。
買収した侍女の話では若い女性はいないという。

彼女はいったいどこにいるんだ。

もっとも知りたかったことだ。

だが、ブラッドリーはふんと鼻で笑って、ずっとつかんだままだったアドルフの胸ぐらをふいっと放すと、アドルフの前に仁王立ちになった。

「オリヴィアが気になるというのですか？」

「当たり前だ。俺の…妻だ」

アドルフの絞り出したようなその声にブラッドリーは眉をしかめ、アドルフを睨みつけた。