国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
「俺が宮殿で言ったことはすべて敵を欺くためのウソだから、俺を信じて待てとコニーに伝えておいたというのに」

「何を今更っ!」

「今更ではない。あの時はああするしかなかった。そうしないとオリヴィアが危険だった。宮殿にはメナードのスパイがそこかしこに潜んでいた。寝室の会話も聞かれているにちがいなかったのだ。だからあえて突き放すような言い方をした。オリヴィアを安全に国外に脱出させるために」

「何ですって?」

本気で言っているのかとブラッドリーはあっけにとられた。

では、オリヴィアは何も知らずにずっとアドルフを恨み続けていたというのか…。

「それは…本当の事ですか?」

「俺が、オリヴィアを捨てるわけがないだろう。俺はコニーがちゃんと説明しているものと思っていた。その上で、やっと保守派を排除した今になってもオリヴィアが見つからない理由がわからなくて…。もしかして本当に途中で死んだのかと…」

「オリヴィアは生きています。ですが…」

言いよどむブラッドリーの声に不安がよぎる。

なんだ?何かあったのか?オリヴィアに。

「俺からは教える事は出来ない」

「なんだと?」

今度はアドルフがブラッドリーに詰め寄った。

「なぜだ!」
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