国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
かつては綺麗に整えられていたオリーブ色の少しウエーブした美しくつやのある髪は後ろにひっつめて束ねてまとめており、化粧気はなく、23歳という年齢にはふさわしくないような地味な装いをしている。
しかしよく見れば、その象牙色の顔立ちは気品があり美しく、濃いエメラルド色の美しい瞳の奥はキラキラと輝いている。
目立たないようなくすんだ色のワンピースを着ていても、ぴんと張った背筋はその高貴な産まれをごまかせはしなかった。

オリヴィアはアンネ叔母にもらったシチューを籠から出すと、まだ少しあったかいとありがたく思いながらすこしずつ口にいれていく。

わたしみたいな半端者にここまでしてもらえてうれしいわ。
叔母様、このご恩は忘れません。

ライネル王国の北部の小さな田舎町アミングウェイに広がる広大な農地を管理している大地主の夫を持つアンネ叔母はオリヴィアの母の妹だ。
オリヴィアの母はライネル王国の由緒正しきスタンフィールド侯爵家の令嬢だった。
アンネ叔母ももちろんそうだったが、大地主だった平民の夫と大恋愛しかけおちした。
当然怒ったおじい様に当初は勘当されたらしいが、おじい様がなくなるとドリーおばあ様は娘がかわいくなり勘当を解いたという。
今はスタンフィールド女侯爵となったドリーおばあ様といい関係を築いている。
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