国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
カッコいいお父さん。うん。とてもうれしいかもしれない。

「ノアというのか。今までほおっておいて悪かった。これからはずっと一緒にいよう」

「……」

やっぱりそうなるわよね。

ノアは嬉しそうに「はい」とうなづき、アドルフが抱っこするというので、気軽に抱っこに応じている。
子どもというのは適応が早いものだ。

今まで会ったことがなくても父親だと言えば、受け入れる事ができるのだ。

「ひとつ聞きたい」

「はい」

「ジュリアン・アンティラス氏だが…。オリヴィアと結婚しているのか?」

「え?」

オリヴィアはきょとんと眼をまるくした。

そう?見えるのかしら。
けれど、昨日の状況を見たら確かにそう見えてもおかしくないかもしれない。

「いいえ。それはありませんよ」

扉の向こうから声がして、形ばかりのノックの後、ジュリアンが入室してきた。

「僕は、ノアくんを教えているだけです。教えるにあたってこの家に住み込んでもらっている。それだけのことですよ」

「教えている?」

「はい。ノアくんは並外れた魔力をお持ちなのです。ですので魔力のコントロールについて魔術の授業をしています」

魔力を?
それは…すばらしい。

「ですので、僕はオリヴィア嬢とノアくんが陛下とともにカルトナーに戻られることに大賛成ですよ」

その言葉にオリヴィアは…腑に落ちないものを感じていた。
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