国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
「ノアを一人にはできません。だから一緒に宮殿には上がりますが…どうかわたしのことは…ノアの母だとだけお思いくださいませ」

「オリヴィア…」

アドルフの悲しそうな声がホールに響いた。

きっとオリヴィアは俺を許していないのだ。
アドルフはそう思った。

6年という歳月は、そう簡単に埋められるものではない。

「わかった。だが、宮殿には上がってもらうし、皇太子の母としてきちんと扱いは受けてもらうぞ。将来の国母なのだからな」

国母…

「わかりました…」

そのあと、アドルフはジュリアンをカルトナーに来ないかと誘いをかけてみた。

ジュリアンは最初しぶい顔をしていたが…。

「ノアの教育係になってほしい。アンティラス氏はこちらでは貴族の爵位を受けておられぬ。ならばカルトナーに来ることに問題はないだろう?」

ノアの魔力の扱いについて、そうそう指導出来るものがカルトナーにはいないことはジュリアンにもわかっていた。

「魔力についてライネルは先進国だから、カルトナーが落ち着いたら、魔塔なんかも立てていきたいと思っているからな」

そう言われて決心がついたようだ。

「わかりました。では参りましょう。こちらの仕事を片付けてから、追いかけましょう」
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