国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています


「アドルフ。お茶を変えたのか?」

ブラッドリーが公務に復帰したのが即位式の翌日で、そのあとも家の事でバタバタしていたりしたので、結局まともに公務ができるようになったのはつい先日だ。即位式からすでに1か月ほどの時が流れていた。

「ああ。オリヴィアがな」

「ああ。そういうことか」

『ふふん』と鼻をならしたブラッドリーはなるほどと納得の表情だ。
こちらに戻ってきてブラッドリーはアドルフと2人の時は昔みたいに気さくに話すようになっていた。
アドルフが畏まるなと言ったからだ。

「それ以外にもいろいろと手を入れてくれている。宮廷侍女と護衛騎士の制服が刷新されそうだ」

「ほう。まぁ確かに、もう古臭いデザインだったしな」

宮廷のお茶やお茶菓子は午後のおやつと一緒にいつでも淹れられるように置いてあるのだが、それを変更するにあたっても侍女長や料理長に意見をきいたり、制服の刷新では騎士団長や若い侍女にアンケートをとったりするなど、宮廷職員たちと交流をしつつ決定していった。

そんな中で、オリヴィアの人柄に触れた、疑心暗鬼の職員たちの心を取り込んでいったのはさすがオリヴィアとしか言いようがない。
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