国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています


「有休制度を設けませんか?」

今では週1回、アドルフはオリヴィアと会議の席を設けるようになっていた。
あくまでも仕事での会議であり、この時間にはノアのことなど私的な会話はしない。

先日は3年という長期計画で宮殿の修繕を行うというプランを出されたばかりだ。
どんどんカルトナーの宮廷をよくしようとしてくれている。

「有休制度?」

「ええ。新しい国では取り入れ始めています。給料は変えずに、年に2週間分の休暇を与えるのです。連続してとるか、まばらにとるかは本人次第。ただし、仕事に迷惑はかけないこと。例えば、同じ部署で3人一気に休まれては仕事が滞ります。そのあたりは部署で調整しながら休暇をとれる制度です」

「ほう。悪くはないな。それで職員の士気があがれば、今以上の仕事をすることになるということだな」

「はい。実際取り入れている国では仕事の精度が上がったという話もあります」

なんでも入念に調査している。

まったくオリヴィアというやつは…。

「ではすすめますね。今日のところは以上です」

「わかった」

「それでは」

立ち上ろうとするオリヴィアを止めた。
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