国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています

「オリヴィア。少し、外を散歩しないか？」

「え？」

戸惑いの表情。

「今日はもう公務も終わりだろう？ノアの…6歳の誕生日も近い。お祝いの相談をしたいと思ってな」

「あ。そういうことですか。はい。では…」

そうでも言わなければ散歩もしてくれない。
あっさりしたものだ。

思えば昔からそうだったなとアドルフは苦笑した。

オリヴィアが自分との結婚を決めたのは、父親であるノックス公爵とガーリア皇帝が決めた婚約者だったからに他ならない。

小さいころから幼馴染で、婚約を決めたのは父であるガーリア皇帝ではあったが、婚約者がオリヴィアに決まったと言われたとき、アドルフは心の中で飛び上がるほどに喜んだ。そのころはまだ子どもで、カルトナーがここまで傾いているとは知らなかったし、オリヴィアとの婚約の裏にあるいろいろな政情について理解できていたかというとあやふやではあるが、政略結婚であることは理解できた。
それでもとてもうれしかった。
そのころからオリヴィアのことは大好きだったから。