国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
オリヴィアに婚約者になったと報告したら、「そうですか。よろしくお願いします」とあっさりと言われたっけ…。

それでもよかった。
いつかは自分を好きになってくれるだろうと安易に考えていた。

けれど、いつになってもオリヴィアは礼儀正しく自分の横にいるだけで、決してそれが愛とか恋とかじゃないことはアドルフにはよくわかっていた。

それでも結婚した時はさすがにうれしくて、その夜は我を忘れて抱いた。
初夜ですら監視されている中声は出さないように注意して、それでもうれしくて仕方がなかったのにこんなことになってしまった。

おかげでノアを授かったことには感謝しかない。
そのおかげで今オリヴィアをつなぎとめておけるわけだから。

それでも再会した今でもオリヴィアは同じ。
オリヴィアにとってはアドルフはかつての夫、そしてノアの父でしかないのだ。

外はまだ肌寒く、昼間とはいえ、室内着のままでてきた2人には少し寒かった。オリヴィアがぶるっと震えたので、アドルフは薄かったが上着を脱いでオリヴィアにかけた。

「陛下。このようなことされては陛下が風邪を召されてしまいますよ」
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