罪と愛
「そうね,感謝するわ。あなたはおバカな女の子がタイプなんだったかしら?」
「そうだな。扱いやすく,可愛らしい。だがそう妬くな。お前は賢いが,誰よりも気に入っている」
「……けれど,あなたとはこれで終わりにしましょう。ここまでの人間だなんて想定外。あまり長く関係を持っていると危ないわ」
「あぁ,言うと思ったよ」
「あっさりしてるのね。惜しくはないの?」
「だから,最初から予想の範囲内だ。お前の考え方は変に複雑でなく,単純で分かりやすい。それとお前には言われたくないな」
「長い付き合いだもの。それなりの感傷はあったわ。1秒だけど」
「そうか。そりゃ光栄だ。お前は初めて会った時『悪女です』っつー荒んだ笑顔を浮かべてたが,なんだぁ? 変に落ち着き手にいれてからは一層色気も増して良い女になった」
「そう? ありがと」
「釣る側の俺を引っ掻けようなんてとんでもねェ女は後にも先にもお前だけさ」
「…それにしても……あなたは私と違って全く似合ってないわ。もっとキザに決めるものと思っていたのだけど。勘違いだったかしら?」
「いーや。俺はそっちのが好きさ。今はアンバランスにも見えるだろう。だけどな…」
「失礼,社長」