大嫌いと言われた元カレに再会したら、息子ごと溺愛が待っていました
プロローグ
「ごめんなさい、別れて」
私は、高校時代の三年間を恋人として過ごした彼──犬飼《いぬかい》拓也《たくや》にそう告げた。
先週卒業式を終えて、都内にある某有名国立大学の合格を二人でもらったばかりだ。
春とはいえ、まだ肌寒い今日。いつものようにファストフード店ではなく、公園で待ちあわせようと言ったのは、拓也に別れを告げるためだった。
「寧子《ねいこ》? なに言って」
「本気なの。別れてほしい」
「冗談も大概にしろ」
拓也が訝しむのも当然だ。私たちは本気の恋をしていた。ケンカをすることはあっても、互いにかけがえのない人だとわかっていたから、話し合い、譲り合って解決してきた。
そんな私が一方的に別れを告げるなど、彼にとっては青天の霹靂もいいところだろう。
「私が、そんな冗談言うと思う?」
あえて悪ぶった言い方で返すと、拓也は苛立った様子で自分の髪をぐしゃぐしゃにかき混ぜた。
「冗談じゃないならなんだよ!」
「妊娠したの」
「は?」
別れを告げたとき以上に、拓也が驚いた顔を見せる。それはそうだろう。私だって、自分がまさか彼に妊娠を告げるなどとは露ほどにも思っていなかった。
「でも拓也の子じゃない。浮気した。それで……妊娠したの」
拓也の表情がくるくるとめまぐるしく変わる。彼は、まず妊娠と聞いて驚き、自分の子じゃないと聞いてほんの少し安堵していた。
もう覚悟を決めたのだ。彼の反応に傷ついたり泣いたりはしない。拓也が私を好きでいてくれたのは間違いないけれど、つい数週間前まで高校生だった男子の反応としては当たり前のものだ。
「浮気……? 俺以外と、やったの?」
そして最後に、私への怒りがやってくる。拓也は目を細めて睨むように私を見つめる。
「ごめんなさい、別れて」
私は、高校時代の三年間を恋人として過ごした彼──犬飼《いぬかい》拓也《たくや》にそう告げた。
先週卒業式を終えて、都内にある某有名国立大学の合格を二人でもらったばかりだ。
春とはいえ、まだ肌寒い今日。いつものようにファストフード店ではなく、公園で待ちあわせようと言ったのは、拓也に別れを告げるためだった。
「寧子《ねいこ》? なに言って」
「本気なの。別れてほしい」
「冗談も大概にしろ」
拓也が訝しむのも当然だ。私たちは本気の恋をしていた。ケンカをすることはあっても、互いにかけがえのない人だとわかっていたから、話し合い、譲り合って解決してきた。
そんな私が一方的に別れを告げるなど、彼にとっては青天の霹靂もいいところだろう。
「私が、そんな冗談言うと思う?」
あえて悪ぶった言い方で返すと、拓也は苛立った様子で自分の髪をぐしゃぐしゃにかき混ぜた。
「冗談じゃないならなんだよ!」
「妊娠したの」
「は?」
別れを告げたとき以上に、拓也が驚いた顔を見せる。それはそうだろう。私だって、自分がまさか彼に妊娠を告げるなどとは露ほどにも思っていなかった。
「でも拓也の子じゃない。浮気した。それで……妊娠したの」
拓也の表情がくるくるとめまぐるしく変わる。彼は、まず妊娠と聞いて驚き、自分の子じゃないと聞いてほんの少し安堵していた。
もう覚悟を決めたのだ。彼の反応に傷ついたり泣いたりはしない。拓也が私を好きでいてくれたのは間違いないけれど、つい数週間前まで高校生だった男子の反応としては当たり前のものだ。
「浮気……? 俺以外と、やったの?」
そして最後に、私への怒りがやってくる。拓也は目を細めて睨むように私を見つめる。
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