保健室で秘密の関係
「普通の奴は立ち入れないけどな」

「それって……」


「吸血鬼が経営してるカフェ。危険な所じゃないから安心していいぞ。それに何かあれば俺が守ってやるから」

「う、うん」


守ってやる。だなんて、サラッと言えちゃうとこすごい。ただのクラスメートの私にイケメンセリフを吐くくらいだもん。恋人とかできたら超溺愛しそう。


柊君が付き合わないのは知ってるけど、柊君の初めての恋人が私だったらいいのに。他の子だとヤキモチ妬いちゃうし、見てて複雑なキモチになる。


私以外と付き合うってことは、私よりも満足できる血を持つ女の子を見つけたってことだから。そしたら私は必要なくなって、それこそ本当にただのクラスメートに逆戻り。


「怖いなら無理強いはしないが、どうする?」

「行くよ!せっかく柊君が誘ってくれたんだし!」

「そうか」


「でも、なんで行きつけのカフェを私なんかに教えてくれるの?」

「霧姫は特別だから」

「え?」


「俺ばかり血を貰ってるし、俺も何か返したい」

「あっ、そういう……」


特別って意味を勘違いするところだった。


「特別な関係、だろ?」

「そうだね」


「霧姫、なに怒ってんだよ。大体先に行ってもお前場所知らな……」

「放っておいて!柊君の馬鹿っ!もう知らない」


柊君からしたら、なんの事やらって感じだよね。けど柊君の発言の問題があるんだから。

特別な関係っていっても、私が血を提供して柊君が吸血鬼であることを黙ってる。ただそれだけ。


柊君のファンが聞いたら、そこ代わってレベルで羨ましいかもしれない。でも、私はその関係に慣れてしまったから。もうそれだけじゃ満足なんて出来ない。
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