保健室で秘密の関係
「キャッ!?」

「っと……大丈夫か?霧姫」

「あ、ありがと」


階段を降りる時に滑ってそのまま落ちそうになった。それをギリギリのとこで柊君が私の腕を引っ張ってくれた。


「お前は目を離すとすぐ怪我しそうだし、俺が隣にいてやらないとな」

「私、柊君の前で怪我なんかしたっけ?」

「体育で怪我したり何もないとこでよく転ぶって話してくれただろ?」


「そんなこと覚えてるの?」

「お前が話してくれたことはなんだって覚えてるさ」

「……」


それがたとえ私を喜ばすウソだったとしても素直に嬉しい。


「ほら」

「?」

「手だよ、手」


「手?」

「危険だから繋いでやるっていってんだ」

「柊君……」


私の返事を聞く前に手を繋ぐ。強引で急に男前になる柊君イケメンすぎ。


この繋ぎ方って……あれ?

手を絡めあってるこれって、恋人繋ぎ!?


アタフタと口を開けて驚いてる私を見て柊君からの一言。


「吸血鬼がいるカフェなんだから、恋人のフリするのは当然だろ?そうしないと、いざって時にお前を守れない」

「友達じゃダメ?」


「それだと何かと都合が悪いだろ」

「?」


私のじゃなくて、柊君の都合かな?

フリとはいえ、恋人繋ぎできるのはラッキーかも。


大きくてかたい手。吸血される時にたまに触れたりはあったけど、ここまでじっくり触るのは初めてかもしれない。


好きな人と触れ合うってこんなにも嬉しいことなんだ……。


手汗で汚くないかな? とか不安に思ったけど、柊君は離す気はないくらい私の手を強く握ってくれた。
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