保健室で秘密の関係
「朱里さん、だったかな?」

「は、はいっ!」


緊張のあまり声が裏返る。


「注文は?」

「えっと……ト、トマトジュースで」


「俺はいつもの」

「……はいよ」


マスターが奥に行き、柊君と2人になった。


「霧姫、どうしてトマトジュースを注文したか聞いていいか?」

「吸血鬼なら頼むかなって思って」


マンガで読んだ知識だから合ってるかはわからないけど。


「霧姫」

「なに?」


「助かった。本当にありがとな」

「え?」


「お前がいてくれなきゃ俺は自由を奪われるとこだった」

「う、うん?」


どれについてのお礼なんだろう。


私が人間だとバレないような言動?

彼女のフリをしたこと?


「でも柊君、特定の誰かと付き合うの嫌だったんだよね?」

「マスターは俺の親代わりみたいなもんでさ。親的には早くいい人を見つけて子供でも作って家庭を作れって」

「家庭で子供!?」


柊君のカミングアウトがどれもスゴすぎて、どれからつっこめばいいか。


親代わりってことは柊君の両親って……。気になりはしたけど、闇が深そうな部分には極力触れない方がいい、よね。
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