保健室で秘密の関係
「霧姫の身体で駄目な部分なんてないぞ。どこを見てもお前は綺麗だ」

「そ、そういうことは恋人に言ったほうが喜ばれるよ」


柊君は私が自分自身を卑下するとすぐ否定して励ましてくれる。


褒めてくれるのは嬉しいんだけど、これだと口説かれてる気がして心臓がいくつあっても持たない。


「前にも話したと思うが俺に恋人はいないぞ」

「だったら尚更私を口説くのはやめない?」


「口説いてるつもりはない」

「……」


無自覚ってこわい。


「俺に褒められるのは嫌なのか?」

「イヤってわけじゃない、けど」


「けど?」

「とにかくダメなものはダメ!」


「人間の女って難しいな」


俺のなにがダメだったんだ?みたいな顔をして考え込んでいる。


「今日はもういいんだよね?」

「ああ」


私は制服の乱れをなおした。


「私がいうのもなんだけど、ちゃんと卒業できるの?」

「俺が吸血鬼だってバレたら退学させられるかもな」


「退学!?」

「なんで霧姫が驚いてんだよ」


だって退学だよ? 驚かずにはいられない。


私たちは高3だし、ここまで頑張ってきたのにバレたら退学ってひどくない?

吸血鬼はクラス内にいてもおかしくないっていうのに。
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