保健室で秘密の関係
「それはないな」

「なんで?」


「今までだって何度か死にかけのところをクラスの女に見られてる」

「バレた時どうしてたの?」


「体調不良だって言って誤魔化してきた。だけど霧姫のときは我慢できなかった」

「なんで?」


「理由は俺にもわからない。ただ……」


ただ……なに?


「これ以上いえない」

「そっか」


その続きが聞きたかったけど、私もそれ以上聞くのはよくない気がした。


「もう遅いし家の近くまで送ってやる」

「でも柊君に迷惑がかかるし、柊君の身体も心配だから」


「今からは俺たち吸血鬼の時間だ。心配しなくていい」


柊君はカーテンを開けた。

瞬間、日が沈む。


あたりが暗くなる中、唯一明るいのは、


「どうした?」

「その目、綺麗だね」


柊君の赤い瞳。それは吸血鬼である証拠。


宝石のルビーよりも美しくて、私はその瞳から視線が逸らせなかった。


「そうか?俺は生まれた時からこうだからなんとも思わないな」

「綺麗だよ!見れることならずっと見ていたいもん」


「告白?」

「ち、ちがうよ!?」


「ははっ。そんな動揺しなくてもわかってるって」

「……」


始まりは、ただ柊君の食料として。
だけど、いつの間にか私は柊君に恋をしていた。


たとえ柊君が私のことを好きじゃなくても、私は構わない。こんな関係でも柊君に必要とされるならそれでいい。
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