保健室で秘密の関係
翌日の朝。

私は柊君のいない教室でいつも通り授業を受けていた。


卒業したら柊君との関係も終わってしまうのかな? 深く考えないようにしてたけど、私が気にしなくても楽しい時間ももうすぐ終わる。


私は大学に行くと同時に1人暮らしを始める。
つまりここを離れる。
柊君は進学しないだろうなぁ。


学部は違っても同じ大学に通って今まで通りの関係が続けばな……なんて夢物語を想像したり。それこそ今の関係から少しステップアップしてみたり。


まあ、それは本人から拒否されてるから無理だけど。あれって告白する前にフラれたんだよね、私。あっけない恋だったな。


「朱里ちゃんの隣ってずっと空席だよね」

「そ、そうだね」


「実は朱里ちゃんの隣がウワサの吸血鬼だったりして」

「ウワサだから本当かどうかわからないよ?大体、吸血鬼は学校なんか通わないよ」


息をするように嘘をつく。


「そうだよねー」

私の隣の席は柊君。だけど、柊君は1度もこの席に座ったことがない。


柊君が普通の人間だったら、私と今みたいな関係になっていただろうか? ううん、それはない。

柊君はイケメンだから、人間だったらきっとモテるし彼女だってすぐに出来てた。


柊君が吸血鬼だからこそ私と今の関係になったんだと思うと柊君が吸血鬼で良かったなって思う反面、残念なところもあったりして。


そもそも、人間と吸血鬼が今まで付き合う事例とかなかったのかな?

やっぱり禁忌とされてる、とか?


それ以前に私と柊君はカレカノじゃないし。
突きつけられる現実があまりにもつら過ぎて私は机に突っ伏した。
< 7 / 21 >

この作品をシェア

pagetop