エリート御曹司に愛で尽くされる懐妊政略婚~今宵、私はあなたのものになる~
 じっと見つめてくる清貴の言葉に菜摘はうなずいた。

「じゃあ、さっそく」

 彼は菜摘の手を取り指を絡めた。そして耳元で甘くささやく。

「菜摘とひとつになりたい」

 そのストレートな言葉に、ドクンと胸が大きく音をたてた。菜摘は熱がこもり少し赤くなった顔で彼に応える。

「私の全部を清貴のモノにしてほしい」

 身も心も彼のモノになってしまいたい。そうすれば難しいことを考えずにただ彼の傍にいられる。

「わかった。その言葉撤回できないからな」

 清貴の目が訴えかけている。菜摘が欲しい、ひとつになりたいと。

 彼女はその思いを無言で受け止めると、そっと目を閉じて彼のキスを待つ。その期待に応えるごとく、清貴の熱くとろけるキスでふたりっきりの時間が始まった。

 あっという間に生まれたままの姿になったふたり。素肌が触れ合うだけで互いの心拍数があがり興奮を抑えられない。

 清貴の男らしい大きな手が、菜摘の白くて柔らかい肌の上をすべる。彼の触れられると体の芯から熱くなっていき、息が上がる。

「はぁ……んっ」

 言葉にならないため息交じりの声。それを聞いた清貴は興奮を隠さずにその欲望をぶつけてくる。

「菜摘、かわいい。ここも、ここも……全部俺のものだ」

 彼がいたるところに唇で愛の印を刻みながら身体中を愛する。普段ならそんなおびただしい数の跡を残さないでほしいと思うが、今の菜摘にはその所有の印さえうれしかった。

 何度か激しい快感の波が菜摘を襲う。翻弄され続けた後荒い息を整えると、清貴がぎゅっと菜摘をだきしめた。

「今日はこれで、終わりにしよう」

「えっ」 

 突然の申し出に、何かあったのかと思う。

「今日は避妊具がない。結婚した後使ってないから用意がないんだ」

 しかし菜摘にはどうして〝それ〟が必要なのか理解できない。

「さっきも言ったけど、もう跡取りが必要なんて考えなくていいんだ。だからそういうことはちゃんとしておいたほうがいい」

 清貴は菜摘との結婚の理由として跡取りを希望していた。それを気にしているのだ。

「清貴は私との赤ちゃん欲しくない?」

「ばか、そんなはずないだろう。欲しいに決まっている。そうじゃなけりゃ、あんな無茶な結婚の条件なんて出さないだろう」

「よかった。じゃあ、このまましよう。私も清貴の赤ちゃん欲しいから」

「菜摘……」

 彼の背中に腕を回し、ぎゅっと抱き着いた。
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