エリート御曹司に愛で尽くされる懐妊政略婚~今宵、私はあなたのものになる~
清貴は菜摘の顔を見て優しくほほ笑むが、菜摘にとっては胸が苦しくて仕方ない。
彼が加美電機を愛し、今後どういう形で人々の生活に豊かさを与えるかを常に考えていた。与えられた道だという人もいるだろうが、その道を歩める能力を身に着け、今なお努力をしているのは清貴自身だ。
思わず拳に力が入る。何があっても一緒に解決すると約束したばかりでも、彼が自分のせいで夢を諦めなくてはいけない状況に、胸が引き裂かれそうだ。
「俺は菜摘がいればいい。仕事はたとえ独立してもやっていける自信はある。だから加美電機の後を継ぐことに固執しないことにした」
「はぁ、そうか。会社よりも菜摘さんを取るということだな」
「あぁ。菜摘がいれば生きていける」
彼の言葉に鼻の奥がツンとする。泣いてはいけないと思いつつも、こんなにも深い愛情に胸がいっぱいになり耐えられそうにない。
「お前は自分の一番大事なものをみつけたんだな」
「ああ。それが俺の決断だ」
なによりも菜摘が大切だと言い切った清貴の横顔を、菜摘は一生忘れないと心に誓った。彼はちらっとこちらを見る。潤んだ目で微笑むと彼も満足そうに笑った。
「そうか、お前の話はわかった。菜摘さんもそれでいいんだな」
秀夫のといかけに菜摘は深くうなづく。何があっても菜摘は彼についていくつもりだ。
「ふたりの気持を聞くことができて、話しをしやすくなった」
秀夫は柔らかくほほ笑んで、清貴と菜摘を見る。
「清貴、お前がまだ加美電機を継ぎたいという意志があるなら、跡取りのことは気にしなくていい」
「親父?」
清貴は肩眉を少しあげて、怪訝そうな表情を浮かべた。
「加美電機は古い体質の残っている会社だ。親族が常に優遇される。それゆえに跡取りがいることが、後継者にはなによりも大事にされてきたんだ。それは知っているな」
清貴はうなずいた。
「だから君たち夫婦にもそれを押し付けた。その時点で間違いを正すのはわたしだったのだ。後継者は子供の有無に関係なく能力で選ぶべきだと。そもそも子供の将来が生まれてきた時点で決まっているのも問題だろう」
彼が加美電機を愛し、今後どういう形で人々の生活に豊かさを与えるかを常に考えていた。与えられた道だという人もいるだろうが、その道を歩める能力を身に着け、今なお努力をしているのは清貴自身だ。
思わず拳に力が入る。何があっても一緒に解決すると約束したばかりでも、彼が自分のせいで夢を諦めなくてはいけない状況に、胸が引き裂かれそうだ。
「俺は菜摘がいればいい。仕事はたとえ独立してもやっていける自信はある。だから加美電機の後を継ぐことに固執しないことにした」
「はぁ、そうか。会社よりも菜摘さんを取るということだな」
「あぁ。菜摘がいれば生きていける」
彼の言葉に鼻の奥がツンとする。泣いてはいけないと思いつつも、こんなにも深い愛情に胸がいっぱいになり耐えられそうにない。
「お前は自分の一番大事なものをみつけたんだな」
「ああ。それが俺の決断だ」
なによりも菜摘が大切だと言い切った清貴の横顔を、菜摘は一生忘れないと心に誓った。彼はちらっとこちらを見る。潤んだ目で微笑むと彼も満足そうに笑った。
「そうか、お前の話はわかった。菜摘さんもそれでいいんだな」
秀夫のといかけに菜摘は深くうなづく。何があっても菜摘は彼についていくつもりだ。
「ふたりの気持を聞くことができて、話しをしやすくなった」
秀夫は柔らかくほほ笑んで、清貴と菜摘を見る。
「清貴、お前がまだ加美電機を継ぎたいという意志があるなら、跡取りのことは気にしなくていい」
「親父?」
清貴は肩眉を少しあげて、怪訝そうな表情を浮かべた。
「加美電機は古い体質の残っている会社だ。親族が常に優遇される。それゆえに跡取りがいることが、後継者にはなによりも大事にされてきたんだ。それは知っているな」
清貴はうなずいた。
「だから君たち夫婦にもそれを押し付けた。その時点で間違いを正すのはわたしだったのだ。後継者は子供の有無に関係なく能力で選ぶべきだと。そもそも子供の将来が生まれてきた時点で決まっているのも問題だろう」