エリート御曹司に愛で尽くされる懐妊政略婚~今宵、私はあなたのものになる~
和利が経営していた【宮城鉄工】だが、加美電機の傘下に入ったことにより、急激に業績を伸ばした。
和利はすぐにクビになり代わりに賢哉が社長となり宮城鉄工を新しくつくりかえた。
今では従業員も増え、海外からの仕事のオファーもある。
菜摘が行っていた事務仕事は美容師をやめた桃子は、加美家から紹介された税理士や社労士に教わり、きりもりしていた。この間は新設備が導入され、まさに順風満帆だった。
「賢哉さん、桃子さん」
背後から声をかけてきたのは、先ほど取引先と話をしていた清貴だった。こっちに歩いてきている。
「いいの? お仕事の話大丈夫なの?」
「大丈夫だ。取引先には部下に対応させるが、おふたりには俺からお礼がいいたい」
そういって清貴は賢哉と桃子の方へ向いた。
「今日は来ていただいてありがとうございます。そしてこの日を菜摘とともに迎えられたのもおふたりのおかげです」
あらたまって頭を下げた清貴に、賢哉はどうしていいかわからずにしどろもどろになる。
「あの、いや、やめてください。世話になってるのはこちらの方だし、今菜摘が幸せなら、俺ら夫婦はもう何も口出しすることはありませんから」
となりに立つ桃子もうんうんとうなずいている。
菜摘が失踪時、ふたりにも心配をかけた。なによりも妊婦の桃子に心労を与えてしまったことは、今なお後悔し続けていることのひとつだ。
当時も清貴とふたりで謝罪に行ったが、彼はこの大きな節目にも彼らに感謝を伝えたかったに違いない。
四人で笑い合っていると、間もなく式が始まると司会者がアナウンスする。
「では、これで」
清貴は足早に秀夫の元に向かっている。前を見据えるその精悍な顔つきにまた恋をしてしまいそうだ。
菜摘はマイクを持ち晴れ晴れしい姿で、これからの加美電機について話をする夫を目を細めて幸せな気持ちで見ていた。
パーティの後半は、菜摘も駆り出され挨拶巡りをしていた。馴れていたとはいえ今回は清貴が主役なので、挨拶してくる人数もこれまでの比ではなかった。
それでもこの人々が夫を支えてくれると思うと、ひとりひとりに心を込めて挨拶をした。
最後のひとりが帰るまでロビーで見送りを済ませ、ふたりは会場のホテルの上にあるスイートルームに向かう。
「疲れただろう、やっとゆっくりできる」
和利はすぐにクビになり代わりに賢哉が社長となり宮城鉄工を新しくつくりかえた。
今では従業員も増え、海外からの仕事のオファーもある。
菜摘が行っていた事務仕事は美容師をやめた桃子は、加美家から紹介された税理士や社労士に教わり、きりもりしていた。この間は新設備が導入され、まさに順風満帆だった。
「賢哉さん、桃子さん」
背後から声をかけてきたのは、先ほど取引先と話をしていた清貴だった。こっちに歩いてきている。
「いいの? お仕事の話大丈夫なの?」
「大丈夫だ。取引先には部下に対応させるが、おふたりには俺からお礼がいいたい」
そういって清貴は賢哉と桃子の方へ向いた。
「今日は来ていただいてありがとうございます。そしてこの日を菜摘とともに迎えられたのもおふたりのおかげです」
あらたまって頭を下げた清貴に、賢哉はどうしていいかわからずにしどろもどろになる。
「あの、いや、やめてください。世話になってるのはこちらの方だし、今菜摘が幸せなら、俺ら夫婦はもう何も口出しすることはありませんから」
となりに立つ桃子もうんうんとうなずいている。
菜摘が失踪時、ふたりにも心配をかけた。なによりも妊婦の桃子に心労を与えてしまったことは、今なお後悔し続けていることのひとつだ。
当時も清貴とふたりで謝罪に行ったが、彼はこの大きな節目にも彼らに感謝を伝えたかったに違いない。
四人で笑い合っていると、間もなく式が始まると司会者がアナウンスする。
「では、これで」
清貴は足早に秀夫の元に向かっている。前を見据えるその精悍な顔つきにまた恋をしてしまいそうだ。
菜摘はマイクを持ち晴れ晴れしい姿で、これからの加美電機について話をする夫を目を細めて幸せな気持ちで見ていた。
パーティの後半は、菜摘も駆り出され挨拶巡りをしていた。馴れていたとはいえ今回は清貴が主役なので、挨拶してくる人数もこれまでの比ではなかった。
それでもこの人々が夫を支えてくれると思うと、ひとりひとりに心を込めて挨拶をした。
最後のひとりが帰るまでロビーで見送りを済ませ、ふたりは会場のホテルの上にあるスイートルームに向かう。
「疲れただろう、やっとゆっくりできる」