エリート御曹司に愛で尽くされる懐妊政略婚~今宵、私はあなたのものになる~
実際にふたりは表面上うまくいっている。最初に契約結婚を申し込まれたときのような強引さは清貴にないし、菜摘も彼に対して当初持っていた反抗的な気持ちもない。互いに一緒に暮らす夫婦として信頼ができてきたと思う。
しかし祥子が言っている〝仲良く〟はおそらく今の自分たちのようなうわべのことを言っているわけではない。
深い愛情で結ばれているかどうかということだろう。祥子は婚姻に置いてそれを大切に思っているようだ。
(私お義母様のことも裏切ってるんだな)
そんな考えが頭をよぎる。
結婚して数カ月たち、表面上はうまくいっているように見えて、色々とほころびが見え始めてきた。
明るくふるまおうと思っていたにもかかわらず、色々なことが心を重くしていてそれが表情にも表れてしまっていたようだ。
「菜摘ちゃん、大丈夫? あんまり色々考えすぎないで」
「はい、すみません」
笑って見せたが、祥子は菜摘が何かになやんでいることに気が付いていた。しかし深追いはせずにうまく気分転換するよう促してくれる。
「ねぇ、今日も又張り切ってお菓子作りすぎちゃったの。持って帰って頂戴。ラッピング手伝ってくれるからしら?」
「はい、ぜひ」
菜摘は祥子の後に続いてキッチンへ向かった。
加美家の台所は、キッチンというよりも厨房と言った方がいいくらい設備が整っている。普段は専属の料理人が常駐しているが、祥子も料理が好きてよく台所に立つらしい。
手際よくラッピングしている姿はプロ顔負けだ。
「この間教えてもらったレシピでハンバーグ作ったら、清貴さん三つも食べたんですよ」
「あらあら、昔からあのハンバーグ好きだったから、菜摘ちゃんの口には合ったかしら?」
「えぇ、もちろん。まさか隠し味が味噌とマヨネーズだなんて驚きました」
菜摘は時々祥子にレシピを聞いて、清貴にふるまった。基本なんでも美味しいと食べてくれる彼だが、やはり懐かしい味には目がないようで菜摘はたびたび祥子にレシピを尋ねている。
「菜摘ちゃん、夫婦には色々なことがあるの。でもこれまで通り歩みよる努力をしていたら、大丈夫よ」
(本当に、愛し合っていない夫婦でも?)
思わず口にしそうになった。しかしすんでのところで思いとどまる。祥子は何も知らないのだ。そしてこれから先も知ることがない。菜摘と清貴がどうなったとしても。
しかし祥子が言っている〝仲良く〟はおそらく今の自分たちのようなうわべのことを言っているわけではない。
深い愛情で結ばれているかどうかということだろう。祥子は婚姻に置いてそれを大切に思っているようだ。
(私お義母様のことも裏切ってるんだな)
そんな考えが頭をよぎる。
結婚して数カ月たち、表面上はうまくいっているように見えて、色々とほころびが見え始めてきた。
明るくふるまおうと思っていたにもかかわらず、色々なことが心を重くしていてそれが表情にも表れてしまっていたようだ。
「菜摘ちゃん、大丈夫? あんまり色々考えすぎないで」
「はい、すみません」
笑って見せたが、祥子は菜摘が何かになやんでいることに気が付いていた。しかし深追いはせずにうまく気分転換するよう促してくれる。
「ねぇ、今日も又張り切ってお菓子作りすぎちゃったの。持って帰って頂戴。ラッピング手伝ってくれるからしら?」
「はい、ぜひ」
菜摘は祥子の後に続いてキッチンへ向かった。
加美家の台所は、キッチンというよりも厨房と言った方がいいくらい設備が整っている。普段は専属の料理人が常駐しているが、祥子も料理が好きてよく台所に立つらしい。
手際よくラッピングしている姿はプロ顔負けだ。
「この間教えてもらったレシピでハンバーグ作ったら、清貴さん三つも食べたんですよ」
「あらあら、昔からあのハンバーグ好きだったから、菜摘ちゃんの口には合ったかしら?」
「えぇ、もちろん。まさか隠し味が味噌とマヨネーズだなんて驚きました」
菜摘は時々祥子にレシピを聞いて、清貴にふるまった。基本なんでも美味しいと食べてくれる彼だが、やはり懐かしい味には目がないようで菜摘はたびたび祥子にレシピを尋ねている。
「菜摘ちゃん、夫婦には色々なことがあるの。でもこれまで通り歩みよる努力をしていたら、大丈夫よ」
(本当に、愛し合っていない夫婦でも?)
思わず口にしそうになった。しかしすんでのところで思いとどまる。祥子は何も知らないのだ。そしてこれから先も知ることがない。菜摘と清貴がどうなったとしても。