23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
ーーーーふいに、デスクの上のスマホが、震える。
液晶画面に表示された名前は『北沢千歳』だ。

一瞬眉を顰めながら、俺は、スマホを拾い上げた。

「はい、何?」

『お休みの所、すみません。明日のアウトレット建設予定地でのサブコンとの打ち合わせですが、僕に一任して頂ける事で間違いないですか』

「あぁ、俺、明日、私用で有給とるから」

電話口から、ふっと北沢の馬鹿にしたような息がかかる。

『相変わらず、颯先輩、女関係、忙しそうですね』

急に北沢は、俺に対して、プライベート用の口調に変わる。

「うるせぇよ、お前みたいに、初恋引きずってんのもどうかと思うけど?」

『あ、その件はもう大丈夫なんで。あと、綾乃さんの歓迎会、うちのグループだけでしようと思うんですけど、経費落としてもらえます?』

美弥の歓迎会か……俺もついて行きたいとこだが、予定が詰まっている上に、今までも立場上、行った事はない。

美弥の歓迎会は、しなくてもいいと、いえばいい話だが、社内では、俺の婚約者だということを隠して、働かせて欲しいという美弥の気持ちを尊重するなら、歓迎会は承諾するべき案件だ。
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