溺れるくらいの恋を…君に
「は?水瀬、それってどうゆう━━━━━」
「ほら、仕事!
資料、貸せよ!」

水瀬は冬臣から資料を取り、仕事をし始めた。



その日の仕事終わり、冬臣から飲みに行こうと誘われた水瀬。
「てか、拒否権なしだから!
ダチなんだから、聞かせろよ!
百合愛ちゃんとのこと!」

「だから!
理由は存在しないっつってんの!!」

「だから!意味がわかんねぇの!!」


「なんで、百合愛と付き合うの?って、好きだから。
何処がいいの?って、そんなの俺もわかんねぇよ!
感情に、理由なんて存在なんかしないだろ?
去年出逢ったあの一瞬で惚れたから、付き合いたいんだよ。
容姿がどうとか、性格が綺麗とか関係ねぇ!
百合愛のこと考えると、息ができなくなるくらいに胸が苦しくなる。
早く会いたいって思うんだ。
会って、抱き締めて、キスしたい。
叶うなら、そのまま抱きたい。
そしてもう、離れたくない。
……………ただ、それだけなんだ。
とっくに俺は、百合愛に溺れてる………!」

「そっか……!」
冬臣は、ただ一言そう言った。
そして続けて言う。

「だったら、もう言わねぇよ!
水瀬が本気なら、俺が口出すことじゃねぇし!
…………でもまぁ、百合愛ちゃんと水瀬がカップルかぁー
なんか、おもしれぇな(笑)」

「は?冬臣、まだ喧嘩売ってんの!?
いくらなんでも、怒るよ?」

「ちげーよ!
おもしろいっつうのは、そうゆう意味じゃなくて!
なんつうか、二人ってタイプが違うだろ?
どんな会話すんのかなって!」

「どんな?
うーん…百合愛って、ピュアだからかな?
時々、スッゴい爆弾落としてくる」

「は?何、その、面白そうな話」

「恥ずかしがってたかと思ったら、上目遣いとかして煽ってきたり。
不意打ちのキスしてきたり」
「ヤバいな」

「ヤバいってもんじゃない!
理性を保つの、大変なんだからな!」
「…………え?水瀬、まだヤってないの?」

「は?」
明らかに、水瀬の雰囲気が黒く落ちた。

「だ、だってよ…お前。
今までの女、すぐヤってたじゃん!」

「━━━━初恋なんだ」
「え?」

「まぁ…俺の場合、ガキみたいな淡い恋心なんて生易しいもんじゃねぇけどな……」

「水瀬、お前…
これが“運命”ってやつってことか……!」
冬臣の呟きに、水瀬は頷き酒を飲み干すのだった。
< 10 / 40 >

この作品をシェア

pagetop