溺れるくらいの恋を…君に
「これ、どう見ても手作りだよな?」

不恰好なシルバーのフープピアス。
既製品でも、オーダー品でもなさそうだ。

「うん。
ごめんね、上手くできなくて……」

「じゃあ、百合愛の言ってた大切な用ってこれ?」
「うん。
この指輪に、答えたくて!」
左手の薬指の指輪に触る。

水瀬は、左耳につけた。
「どう?」

水瀬の左耳に光る、ピアス。
百合愛はその姿を見て、目を潤ませた。

「百合愛!?どうした!?
え?俺、似合わない?」
慌てたように、頬に触れる水瀬。

「違うの!!
本当は、凄く不安だったの。
水瀬くんがつけてくれなかったらどうしようって」

「そんなわけないよ。
百合愛の手作りなんて、嬉しすぎるのに!」

「デザインは結構自信あったんだけど、いざ作ってみると全く上手くいかなくて……
あまりにも不恰好だから、友達に水瀬くんがいくらイケメンでも似合わないよって言われたの。
だから、ホッとしちゃって……
水瀬くん、似合ってるよ!
私の想像通り!」

「良かった!百合愛、ありがとう!
大切にする!
ずっとつけて、外さないから!」
「うん!頑張って良かった!」

「これ……メッセージが入ってる!
んー“I'm yours forever”か……
フフ…百合愛は、俺のモノ!
マジで、嬉しい!」


それからレストランへ移動した二人。

「水瀬くん」
「ん?」

「こんな素敵なレストランじゃなくていいんだよ?」

「ダーメ!
格好つけたいの!」
「でもこんなことしなくても、水瀬くんは十分カッコいいよ!
ううん!格好良すぎるくらい!」

「………」
「………」
動きが止まる。

「………」
「……ん?水瀬くん?」

「……はぁ…」
「え?え?み、水瀬くん!?」
頭を抱える水瀬に、百合愛はおどおどしだす。

「百合愛はなんで……こう…」
「え?」

「あーもー!
百合愛!帰るぞ!」

「え?え?まだ、デザート……」

「もうダメ!!限界越えてる!」

水瀬は百合愛の手を取り、強引にレストランを出て車に乗り込んだ。

水瀬のマンションに着き、エレベーターに乗る。
やっぱり手はしっかり繋がれていて、百合愛は段々緊張してくる。

「百合愛」
「え?
━━━━━━ンンン…!!」
呼ばれて水瀬を見上げると、口唇を奪われた。
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