溺れるくらいの恋を…君に
「百合愛。もう寝よ?」

「うん」

「はい!腕枕して、抱き締めててやるから!
おいで?」
横になった水瀬が、腕を伸ばし微笑む。
百合愛もゆっくり横になり、抱きついた。

水瀬に包み込まれ、目頭が熱くなる。

「水瀬くん」
「ん?」
ゆっくり、水瀬の大きな手が百合愛の背中を上下する。

「私も、大好きだよ」
「うん!」

「本当は、私だって水瀬くんとその…/////
え、エッチしたかった!」
顔を上げて、訴えるように言う。

「うん/////」

「それは……それだけは、忘れないでね!」

「わかってる!
ほら、寝なよ!
明日、デートしよ?」
「うん!
おやすみなさい!」

「おやすみ」

しばらくして、百合愛の寝息が聞こえてくる。
水瀬は起こさないように腕を抜き、スマホを持ってベッドルームを出た。

ベランダに出て、煙草を吸いながらスマホを操作する。
「もしもし?姉貴?」

『水瀬?どうしたのー?
もしかして、私を抱いてくれる気になったぁ~?』

「悪いけど、そんな冗談を言うために電話したんじゃねぇんだよ!」
『おー、怖っ!!(笑)
じゃあ、何?』

「探してほしい奴がいるんだ」

『いいけど、何くれる?』

「金なら、いくらでもやる」

『お金なんかいらないわ。
水瀬に貰わなくても、貢いでくれる男はいっぱいいるし!』

「何が欲しい?」

『そんなの決まってるわ。水瀬が欲しい』

「だから!
言ったよな?
俺はもう……百合愛以外は抱かない」

『別に愛が欲しいんじゃないのよ。
愛なんて、一番信用できないから。
あくまでも!水瀬の“身体”が欲しいの!』

「…………これが、最後だから!」
『えぇ!
待ってるわ!』

ボタンをタップし、天井を仰いで深呼吸した。
そして、着替えてマンションを出た。

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