溺れるくらいの恋を…君に
「ありがとう!」
「いえ!いいのが見つかって良かったですね!」

「あぁ!」
「じゃあ、私はここで!」

「あ、待って!」
帰ろうとする百合愛の手を掴む。

「え?」
「あ、ごめんね。
お礼したいから、食事行かない?」

「あ…それは……
ごめんなさい。
水瀬くんを傷つけるので、お断りします。
気持ちだけ、有り難くいただきます!
ありがとうございます!」

「…………じゃあ、家まで送る!」

「え?ほんとに大丈夫ですよ?」
「ううん!送る」

冬臣は、手を掴んだまま引いた。

「どっちだっけ?家」
「………」

「どっち?」
「……冬臣くん、何かあったんですか?」

「え?」
「なんか、様子がおかしいです」

「……別に」

「………不安とかですか?」

「は?」

「プレゼント…渡すのが」

「そんなことないよ」

「でも、なんかいつもと違います。
冬臣くんじゃないみたいです」


「…………は?
お前に、俺の何がわかんの?」
百合愛を睨み付ける、冬臣。


「え━━━━」
冬臣の恐ろしい視線と声色に、百合愛の瞳が揺れた。


「俺の心、無自覚にかき回してんのわかんねぇの!?」
もう……冬臣は、抑えられなくなっていた。


「冬臣…くん……」

「なんで、俺は━━━━━━━」
そのまま百合愛を引き寄せる。
「え━━━━━と…しん、く……」

そして、抱き締めた。





「━━━━━━━こんなに、好きなんだ………」

< 31 / 40 >

この作品をシェア

pagetop