溺れるくらいの恋を…君に
「堺戸さん、おはよう!」
「あ、おはようございます!」

同僚の南沢(みなみさわ)が、声をかけてくる。

「泣いたの?
どうしたの!?」
「あ、これは!嬉し泣きです!
感動しちゃって!」

南沢は同期で、仲良くしてくれている。
水瀬に告白されたことも知っていて、応援してくれていた。
百合愛は、水瀬と交際することになったことを話した。

「そっか!おめでとう!」
南沢も、とても喜んでいる。

「あ、それで。
南沢さんに相談があって!」
「ん?」

「━━━━━━━」



一方の水瀬━━━━━━━

会社に向かいながら、ずっと百合愛にキスをされた頬に触れていた。

夜中のキスもそうだが、さっきのキスの不意打ちにも水瀬は劣情を煽られていた。

「あー、既にもう…百合愛に会いたい……!」


「━━━━━弓原さん、おはようございます!」
「おはよう、弓原さん!」

「水瀬!おはよー」
「弓原、おはよ!」

会社に着き職場に入ると、同僚達が挨拶してくる。

「おはよう」

「水瀬、早速だけどこの資料━━━━━ん?」
「なんだよ」

「これ……指輪、左手、え?え?」

冬臣(とうしん)、単語ばっかでわかんねぇよ!」
大学の頃からの友人・山城(やましろ) 冬臣が、目を真ん丸して水瀬の左手を見つめている。

「お前、結婚すんの?」
「近い将来な」

「誰!?相手、誰だよ!?」
「は?一人しかいねぇだろ?」

「は?まさか!
百合愛ちゃん?」
「うん」

「え…」
「マジで…!?」
「あの地味な?(笑)」

水瀬と一緒に街コンに行っていた、冬臣や他の同僚が心底驚愕している。

「水瀬、マジだったのかよ!?」
「マジだったよ」

「水瀬、こんなこと言うの失礼だけどよ。
百合愛ちゃんって、なんつうか……」

「地味?」
「うん。
確かにピュアで心は綺麗だよ?
まぁ“見方によっては”可愛いけど……」

「容姿じゃねぇよ」

「え?」

「………つか!理由なんて、存在しない」
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