推しとか恋とか青春とか。
気づけばそう口にしてしまっていてハッとする。


でも気づいた時にはすでに遅しってやつで、北嶋さんの顔色が変わっていくのが見えた。


多分…北嶋さんの地雷を踏んだ。



「え、何?もしかして彼方さん、瀬ノ上君と付き合いたいとか思ってんの?」


「「クククッ。」」



北嶋さんの後ろでクスクスと笑う彼女たちを睨む。


そうやって笑うことしか出来ないし、自分の気持ちもろくに言えないくせに。


勝手に笑ってろ。



「彼方さんさ、頭悪いのは知ってたけど、そこまでとは思ってなかったな〜。すごく哀れ。なんで紫波君も真白さんも彼方さんと仲良くするんだろう?」


「……言いたいことはそれだけ?」


「何?逃げる気?それでいつもみたいに紫波君に泣きつくんだ?」


「…っはぁ。多分、学君はアンタ達みたいな子が一番嫌いだよ」



なんて言ったけど、学君のことはそこまで知らない。



「ううん。瀬ノ上君は頭が悪くて気が強い彼方さんタイプのほうが嫌いなんじゃないかな?」
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