推しとか恋とか青春とか。
「…ごめん。邪魔しちゃった…?」



と真留君の視線がわたしの手元に向けられると、学君は手を離した。


そのまま何も言うことなく教室に入って行ってしまった。


…何を言い掛けられたんだ?



「ごめんゆに。完全に邪魔しちゃったよね」


「ううん、大丈夫。入ろ?」



真留君の背中を押しながら教室に入ると、すぐに学君に視線を向けた。


何事もなかったかのように授業の準備をする学君はいったい何を考えてるんだろう?


…どうして庇ってくれたんだろう?


女子の言い合い程めんどくさいこともないのに。


……でも、嬉しかったな…


庇って味方になってくれたこと。


わたしのこと、ばかにしないでくれたこと。


…やっぱり学君はかっこいいや。


最高の推しだ!……って、この推しって言い方も、学君は嫌なのかも。


…もっと学君のことを知りたい。
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