推しとか恋とか青春とか。
「行ってらっしゃい。」



と真留君の笑顔を背に学君と教室を後にした。



「急かせてごめん」



廊下に出ると、必ずと言っていい程謝る学君ももう日課だ。



「んーん。食べるのが遅いわたしが悪いだけだから」


「でも、飯くらい自分のペースで食べたいよな」


「ほんとだよね。早食いだと食べた気しないから損した気分」


「…ッフ。彼方って食い意地張ってそうだもんな」


「っ、女の子は少食の振りしてみんな大食いなんだよ?知らなかったでしょ?」


「…それは知らなかった。」



世の少食女子よ、嘘をついてごめんなさい。


でも、今だけはこの嘘を貫き通させてほしい。


じゃないとわたし……このイケメンに食い意地張ってる女と思い込まれる。


それだけは避けたい…
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