推しとか恋とか青春とか。
その言葉の理解に苦しんでいると、学君が瞳を絡めてきた。



「……俺の上着を着せれば良かったのにね」


「え?あ、そんな大丈夫っ」


「俺が大丈夫じゃなかったから。」


「っ、……」


「…戻ろっか」


「うん。そうだね」



大丈夫じゃなかった、って何に対して?


やっぱり学君のことはさっぱり分からない。


だけど、真留君が貸してくれたこのカーディガンの意味は分かる気がした。


終始香る真留君の匂いに口角が上がる。


こんなの真留君に包まれているみたいで最高だ。


どうやらわたしは真留君の匂いにも癒されるらしい。



「ありがとうございました。」



文化祭が終わり衣装を返却していると、あるものが差し出された。
< 140 / 326 >

この作品をシェア

pagetop