推しとか恋とか青春とか。
「…やっぱりこれはゆににあげる。」



と再び渡されたカーディガンに視線を落とすと、すぐに真留君の匂いが。


やっぱり引かれた?…


そんな意味で好きとか言われたらさすがに気持ち悪いよね。



「ゆにが好きなものは全部あげる。カーディガンも、香水も」


「っ、……」


「…でもごめん。やっぱり香水は渡せない。この香りが欲しくなった時は、ゆにのこと包み込んであげたいから」



それはつまり……ハグ…?


また真留君に抱きしめてもらえる日が来るってこと?



「あ、なんか嬉しそうにしてる」



どうやらわたしの顔は緩んでいたようで、真留君の突っ込みで表情筋に力を入れた。



「…っはぁ。ゆにはほんとに可愛いなぁ…世界一可愛い生き物」



そう言ってわたしの頭を撫でる真留君に、再び顔の筋肉が緩んでいくからどうしようもない。
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