推しとか恋とか青春とか。
「誰?…」



ふと聞こえた声に振り返ると、顔見知りの男子が立っていた。



「池田、君…?」


「俺だけど…?」



やっぱり彼が池田君だ。


見たことのある顔だからそうだと思った。



「あの、池田君にお願いがあって…」


「……あぁ。もしかして、チョコレート?」


「え?あ、うんっ!そうなのっ!作り方教えてほしくて」



池田君は物分かりがいいらしい。


というより、この時期になるとわたしみたいな人が言い寄ってくるのかも。



「確か…紫波の彼女の彼方さん、だっけ?」


「え?わたしのこと知ってるの?」



作業をしながらそんなことを聞かれる。


まさか知ってもらえていたとは…
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