推しとか恋とか青春とか。
思えば、いつもわたしに合わせてもらってばっかりな気がする。


真留君はそれでいいのかな?


わたしに合わせてばかりで疲れたりしないのかな?



「じゃ、俺はここで」



駅前でそう言った池田君に声を掛けたのは朱里だった。



「っ、池田君っ…良かったら途中までいいかな?…方向同じみたいだし」



きっと相当な勇気を振り絞って誘ったに違いない。


あの人見知りの朱里だもん…すごいよ、偉いよ!


盛大な拍手を送りたいところだけど、さすがに今はそんな雰囲気じゃないね。



「…ん。なら行こっか。じゃまた」


「「バイバーイッ」」



真留君と2人の背中を見届けると、クスクスと笑い合う。



「あの2人いい感じだね」


「うん♪朱里にわたしはもう必要ないかも」


「陰から見守るのも立派な役目だよ」
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