推しとか恋とか青春とか。
そう、問題は紗枝だ。


以前聞いた時、夏休みはほぼ毎日塾通いって言ってたから…



「1日くらい塾行かなくても良いんじゃない?」



と小悪魔な真留君のお出まし。


確かに1日くらいは……ね?



「…わたしね、人混みがどうしても苦手なの。人酔いしてさ」



そう言った紗枝の表情は歪んだまま維持する。


その表情からどれほど苦手なのか伝わってくる。



「じゃ、お祭りは無理そうだね」



と肩を落とした真留君にこんな提案をする。



「手持ち花火は?花火は夜だし、塾も終わってるでしょ?それに公園とかで出来るし、人混み気にせずに済むんじゃない?」


「さすがゆに。紗枝、どう?」



再び真留君の瞳が輝き、その瞳は紗枝を捉える。
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