Never Forget You
「ありがとう」

「どういたしまして」

そーちゃんは微笑んで私の隣に座った。

私はそっと、そーちゃんの手を握る。

あちこちに固い部分があって。

バイクに乗る時に出来たものや整備中に出来たものやらわからないけど。

この手に触る度にそーちゃんの苦労に触れる気がする。

そーちゃんも私の手を握りしめる。

それがとても優しくて。

顔を見合わせて、二人とも笑った。

「本当に、無理だけはするなよ?」

そーちゃんは私がうん、って言う前にキスを仕掛けてきた。

それに乗る、私。

そーちゃんは私の体を抱き寄せてしっかりと抱きしめる。

安堵感が私の中で広がる。

この瞬間がいつもたまらない。



カタン…



その音でそーちゃんはため息混じりに私の体を離した。

「睦海、どうしたの?」

そーちゃんが見つめる先に睦海が。

しかも、ニヤニヤ笑っている。

「パパとママ、ラブラブ?」



な…今、なんて???
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