Never Forget You
不思議な事に。

しばらくして治まった。



「ホントに無茶は勘弁してよ」

そーちゃんはピットから出る前に私の頭を撫でた。

「うん、大丈夫だから」

そして、そーちゃんとがっちり握手を交わす。



名前がコールされて、手を振るそーちゃん。

雨が酷い…

霧が出始めている。

途中で赤旗中断も有り得るかもしれない。



「どうか、無事に帰ってきてね!」

私はその横を離れる時にそう言って肩を叩いた。

そーちゃんは肩に置いた私の手をそっと触れて頷く。

私はチームの人達とピットに戻った。



「さ、座って」

私は彩子さんの横で椅子に座って観戦する。

祥太郎くんも泣き疲れて眠ってしまった睦海を抱いたまま、スタートするそーちゃんを見つめた。

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