Never Forget You
「…脳腫瘍?」

賢司さんはゆっくりと頷いた。

「手術出来ない場所にあってね。
…あと1年、もつかどうかなんだ」

自分の心拍数が急に早くなるのがわかる。

手が震えだした。



「そーに、仕事の全権を任せようと思ってるんだ。
…ライダーとしての才能があるからあまり強くは言えないけど」

賢司さんが言い終えないうちにそーちゃんが口を開いていた。

「俺は…元々拓海がいたら早い段階で表舞台から引くつもりでしたから。
この状況なら今でも引退する覚悟はあります」



そーちゃんは淡々としていた。

それがあまりにも寂しくて。

私は俯いて泣いてしまった。
< 18 / 163 >

この作品をシェア

pagetop