Never Forget You
一位でチェッカーを受けて、そーちゃんは観客に手を挙げた。



私は涙が止まらなくて。

その場で泣き崩れてしまった。

「ママ?」

睦海が心配そうに私を覗き込むので、思わずギュッ、と抱きしめて。



そーちゃんの優勝は。

睦海が産まれたあの日以来、2年ぶり。



池田さんと比べたら圧倒的に少ないけど、チームのマシン、技術、総合的に見たら、それでも充分だった。

出来すぎかも。



チームのフラッグを掲げて、もう一周。

ウイニングラン。



でも。

チーム内は異様な緊張が走っていた。

「そーちゃんが戻ってきたら、マシンもそーちゃんも支えて!」

至さんが緊迫した表情で周りのスタッフ全員に指示を出していた。

「真由ちゃん!」

しゃがみ込む私に祥太郎くんは声をかけてきた。

「帰ってきたら、そーちゃんは間違いなく倒れる。
すぐにここから出られる服に着替えて、早く!」
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