Never Forget You
「ただいま〜」

玄関が開いて、そーちゃんの声が聞こえる。

それまでおとなしく遊んでいた睦海が急に立ち上がって走って玄関に向かった。

「パパー、おかえり」

「ただいま」

そんなやり取りが聞こえて。

「…ただいま」

睦海を抱いたそーちゃんがリビングに入ってきた。

「おかえりー!!!」

私と祥太郎くん、梓ちゃんの3人が一斉に言うとそーちゃんははにかんで笑っていた。



「…あ」

そーちゃんは机の上にある箱を見つめて、驚く。

「見る事が出来たんだね」

私は頷く。

そーちゃんも微笑んで

「そっか、良かったよ」

と安堵の言葉を口にした。



何となく。

今日は過去に向き合える気がしたんだ。



うん、これでひと区切り出来た。



私は箱の蓋を閉めてクローゼットに収納した。



ふと、窓の外を見ると。

本格的に降り出した雪は徐々に積もりはじめていた。
< 64 / 163 >

この作品をシェア

pagetop