Never Forget You
「もう…大丈夫だから」

少しだけ涙を浮かべてしまったけど。

拓海くんを思い出しての涙じゃない。

そーちゃんの優しさが私の胸に突き刺さるから。

「無理は…」

そう言いかけたそーちゃんの口を私は人差し指で押さえた。

「無理はしてないよ。
ただ、今はそーちゃんの優しさがたまらないだけなの」

私の言葉に少しだけ、そーちゃんの頬が赤くなる。

私はそっとそーちゃんの唇にキスをした。

そーちゃんも少し戸惑いながらそれに応える。





ようやく。

自分の気持ちに整理がついて、迷いがなくなった。

拓海くんは大切な人。

それは今も変わらない。

けど、今、それ以上に大切なのは。



そーちゃん。



…今、この世でたまらなく愛しい人。

この人だけを、真っすぐ見つめていたい。

私がこの世を去るまで、そーちゃんを大好きでいたい。
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