たとえ星が降らなくても【奈菜と南雲シリーズ③】
「え、ほんと?これ、貰ってもいいの?」

「ん。返されても困る。俺じゃ使えないし」

「ありがと!星だ!キラキラしてる!すごい!可愛い!!

興奮した声を上げながら、彼女は手の中のものに魅入っている。
そこにあるのは、紺色の薄く透けた生地に金色で星の柄が入ったシュシュ。

「天の川みたい!」

シュシュに巻き付いた星のチャームを触りながら、彼女が目を輝かせて言った。
俺もそれを一目見た時に、そう思ったんだ。

「この丸い飾りも可愛い!」

星のチャームの下にぶら下がった、丸い飾りを指先でつつきながら興奮した声で彼女が言う。

一個は淡水パール、もう一個はピンクゴールドなんだって、お店のお姉さんが言ってたな。星のチャームはイエローゴールドだとか。

「ありがとう、南雲!」

満面の笑顔でそう言った彼女に、俺は黙って頷く。
そんな可愛い笑顔で喜んでもらえたら、女性ばかりのアクセサリーショップで居た堪れない思いをした、先月の俺の努力も報われるだろう。
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