冷徹冷酷な極上イケメンは幼なじみを甘く激しく溺愛したい。
ああ、やっぱり私は伊織が大好き。
「行こうか」
「だな」
伊織の隣に並んで歩こうとするとスっと手が伸びてぎゅっと私の手を握った。
優しく強く、握りしめられた右手はホカホカと暖かい。
「な、急にどうしたの。てなんか繋いじゃって」
「んー、いいだろ、別に。咲坂がいつどこで見てるか分からないからな。空音は俺のもんって見せつけとかないと」
「んなっ。そ、そんなことはないと思うけど。それにここ、家近いし……。補習は咲坂さん、来ないんじゃない?」
そ、そんなふうに言わなくても……!
私、いつ伊織のものになったの?
ゴニョニョと気持ちを誤魔化すように話す。だけど繋がれた右手はますます暑くなるばかり。
「いや、それが……昨日知ったんだが……」
「ん?」
ぼーっとしながら歩いていると伊織がボソリと呟いた。危うく聴き逃しそうになったけど耳をかたむける。