冷徹冷酷な極上イケメンは幼なじみを甘く激しく溺愛したい。
「実は……数学のテストで赤点を取ったやつがもうひとりいるらしい」
「え、そうなの?」
伊織の言葉に驚く。
うちの学校は進学校……とまでは行かないがそこそこ頭のいい高校だから赤点をとる人は滅多にいないそう。
なのに、もう1人補習を受ける人がいる?
「ああ。まだ俺も誰かは分からないが一応警戒しとかないとな。咲坂の友人とか咲坂本人が補習かもしれない」
「またまたー。そんな高確率で補習に来る人が咲坂にあたるわけないじゃん。だって咲坂さんは頭がいいんだよ?学年でも5本指に入るくらいなんだから」
「そうだといいが……嫌な予感がする」
あはは、と笑い飛ばしながら伊織を見る。
……え、ほんとに咲坂さんが来るとかないよね?
「「…………」」
ぎゅっと握る手に力を込めながら歩く通学路。
楽しみにしていたはずなのになんだろう。このモヤモヤした気持ちは。
嫌な予感って伊織が言ってるけど……まさか、ね。