冷徹冷酷な極上イケメンは幼なじみを甘く激しく溺愛したい。

咲坂さんは伊織を見るとぎゅっと手を握りしめる。……やだ、伊織に触らないで。


咲坂さん、もしかして私から伊織を奪おうとしてわざと倒れたの……?


さっきまで幸せだった気持ちが嘘だったかのように黒くて嫌な気持ちで埋め尽くされている。


ズキンズキンと痛む胸を押さえながら、伊織と咲坂さんを見ていた。演技だと叫びながら伊織をひきはがしたい。


だけど弱虫な私はそれをできない。


なんで……こうなったの。あれだけ咲坂さんに警戒していたのに。伊織も伊織でちゃっかり信じちゃってるし。



「大丈夫だ。俺に掴まれ。保健室まで送ってやる」


「ありがとう……」



え……伊織?


モヤモヤした気持ちを必死で消そうとしていたら伊織が……咲坂さんをお姫様抱っこして教室から出ていこうとしている。


や、やだ……なんで伊織はそんなことするの!?


咲坂さんの演技だって言うことに気づいてよ!



「伊織!」



苦しくなって思わず名前を呼んだ。
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